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WINNERS

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    《TEFCO vol.2 ~アンダーコントロール~》 2023「MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ」展示風景(東京都現代美術館)
    撮影:木暮伸也

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    「TEFCO vol.1 ~重力発電の夜明け~」展示風景(WHITEHOUSE、東京、2023)
    撮影:荻原楽太郎

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    《Great Emptiness》 2024「TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト展」展示風景(寺田倉庫 G3-6F、東京、2024)
    撮影:鈴木雄介

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    《永続的な一過性》 2022「六本木クロッシング 2022 展:往来オーライ!」展示風景(森美術館、東京)
    撮影:竹久直樹

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    《たたない塔》 2021「遠い誰か、ことのありか」展示風景(札幌文化芸術交流センター SCARTS、2021)
    撮影:リョウイチ・カワジリ

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    《Dreaming Car(再編)》 2023「Back to the Future」展示風景(rin art association、群馬、2023)
    撮影:木暮伸也

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    《脱成長のためのイメージ》 2023「Back to the Future」展示風景(rin art association、群馬、2023)
    撮影:木暮伸也

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    《鑑賞から逃れる》 2019「Art Meets 06 門馬美喜/やんツー」展示風景(アーツ前橋、2019)
    撮影:木暮伸也

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    《現代の鑑賞者》 2018「20th DOMANI・明日展」展示風景(国立新美術館、東京、2018)
    撮影:荻原楽太郎

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    《「落書き」のための装置》 2011「トーキョー・ストーリー 2010」展示風景(トーキョーワンダーサイト本郷、2011)

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やんツー

撮影:シャ ヒロヤス
現像・プリント:寺屋宣康(グレインハウス)

やんツ―のプロフィールはこちら

これまでのキャリアを振り返って、今の制作に影響していることはありますか。

多摩美術大学の情報デザイン学科のメディア芸術コースで学びました。もともとはグラフィックデザイン学科を志望していて、結果的に入った学科は、情報デザイン科だったんですけど、そこはメディアアート、つまりデザインではなく芸術を学ぶ場所でした。そこでたまたま久保田晃弘さんと三上晴子さんという二人の教授から教わったことが、すごく大きかったかなと思っています。
というのも、メディアとかテクノロジーを使いつつも、自己言及的だったり、自己批判的な考え方を刷り込まれていったような気がしていて。そこで、何かを批判的に見る目を養えたと思っています。ここまでキャリアを積んできて、その点を評価されることが度々あって、元を辿れば、そういう態度で作品を作るべしということを大学で教わっていたんだなと、これまでの歩みを振り返ってとても感じるところです。

特に久保田さんからは「コンテンツではなく仕組みや枠組みそのものを作ることで根底から問題提起していくような作品を作りなさい」ということを言われてきました。自分の制作のスタートはグラフィティだったんですけど、そもそもなんでグラフィティを人間が描く必要があるんだろう、と自然に疑問が浮かび上がってきた。それで、グラフィティを描く装置を作ったり、作られた作品を鑑賞するとはどういうことなのかとか、人間の存在が前提となっている美術や芸術という営みそのものの根底を疑ってみるとか、そういった疑問を作品の中で検証する。そういうことをずっとやってきました。

そういう環境で教わったので、ソフトウェアにおいてもハードウェアにおいても、エンジニアリングを介して作品を実装するという意識で作品をつくってきました。テクノロジーは、メディウムでありメディアでもあり、僕にとっては作品を表現するための手段です。そんな中で、特にここ数年は現代の社会や人間の存在がテクノロジーに規定されているということを、使いながらすごく実感していきました。テクノロジーに対する距離感がだんだん変わってきて、もはやテクノロジーはポリティクスそのものであるという考えに至り、今があるという感じです。

  • 《「落書き」のための装置》 2011「トーキョーストーリー 2010」展示風景(トーキョーワンダーサイト本郷、2011)

  • 《永続的な一過性》 2022「六本木クロッシング 2022 展:往来オーライ!」展示風景(森美術館、東京) 撮影:竹久直樹

TCAAの選考について

実は、TCAAの1回目で選考委員の方から推薦の話をいただいたことがあるんですが、僕はその時キャリアがちょうど10年で「中堅」って呼ばれたことがなかったし、まだ早い、今じゃないと思って、結局辞退してしまいました。正直少し後悔したんですが、自分もゆくゆくはという強い意思を持って、毎回しっかり受賞記念展を観に来ていました。そして今回、狙いすまして、ここだ!と。2019年からずっと意識していたコンペでしたね。

最終選考は、かなり準備して臨んだので、始まる前はすごく緊張しました。でも、始まるとかなり柔らかい雰囲気で、アットホームな感じだったんですよね、意外と。あと、素朴に、自分が興味関心のあることに対して選考委員と良い議論ができればいい、受かっても落ちても、その目的が達成できればそれでいい、そういう心づもりで臨みました。最後の質疑では、ちゃんと会話ができたな、という手応えがありました。自分のやっていることや問題意識は海外のキュレーターにも共有し、議論できるものであるんだなというか。そんなことを確認できたという印象が強かったです。
受賞の知らせを聞いた時は、すごく嬉しかったですね。中堅作家の層は厚いと思うし、毎回2人しか選ばれない難しいコンペだと思っていたので。そして、SNSのプロフィールに「脂の乗った中堅作家」って自虐的に書いていたんですけど、嘘じゃなくなってしまったというか。これで本当に中堅になった、という自覚が芽生えました。

  • 選考会での様子

1年目には海外での活動が支援されます。どのような活動を予定していますか。

扱おうとしているテーマが、大きく2つあります。
ひとつはエネルギーの問題で、ずっと興味関心をもっていた原子力です。原子力というと、一般的に核分裂の方をイメージされますが、どちらかというと、選考委員のレズリー・マさんが受賞者シンポジウムの受賞者シンポジウムのビデオレターで「ポスト原子力」と言及されていたように、未来のエネルギーと呼ばれる核融合の方ですね。核融合による発電は、まだ実用化されていなくて、研究段階なのですが、その新しいエネルギーに関する技術、テクノロジーに関してリサーチしていきたいと思っています。

具体的には、南仏にある国際熱核融合実験炉施設(ITER)で、現在建設中の世界最大規模のトカマク型核融合実験装置の施設ツアーへの参加を考えています。また、ミュンヘンの、マックス・プランク・プラズマ物理研究所(IPP)という核融合施設にも訪問予定です。前から行きたかったところでもあるんですが、お金も時間もなくて行けず、今回の海外活動として、そういうところを巡る機会にしようと思っています。

そもそも日本も原発が多いですよね。だいたいビジターセンターがあって原子力発電の仕組みが知れたり、資料が展示されています。すでに、青森県のむつにあるむつ科学技術館や、六ケ所村にある原子力の廃棄される核燃料のPRセンターに行ってきました。特にむつ科学技術館では、実際に原子力船のむつ号に搭載されていた原子炉が切り離され、屋内にそのまま展示されていて、それが世界でもそこだけで、かなり珍しいと言われているもので。その実用稼働していた原子炉を見てきたりして。
僕は、核分裂という核反応そのものにまず興味があります。原子って目に見えない1億分の1センチスケールで、核分裂の場合だと重めの原子らしいです、想像できないんですけど。重めの原子の分裂反応を取り出して、爆弾だったり、発電所を稼働させるようなエネルギーを得られるということなんですけど、その実際の核反応ってどうなってんだろう?と。1億分の1センチというスケールの何かが、世界を揺るがすようなことになるという事実にすごく興味があります。

もうひとつが、軍事や兵器に関するテクノロジーです。軍事に関するテクノロジーは大体デュアルユースになるものが多くて、その最たるものが原子力です。あれはもともと原子力爆弾だったものが、発電に転用されていたりとか。最近の個展(「浮遊する器官」アートセンターBUG、2026)で扱ったドローンも、最初は民生用に作られて売られていた、羽根が4つ付いたクアッドコプター型のドローンが、今や最前線の戦場では兵器になっていますよね。今では、兵器としてクアッドコプター型のドローンが大量に作られています。
ロシアによるウクライナ侵攻の初期段階において使用されていたのが、深センの企業が生産販売している製品でした。最近は、ヒューマノイドなども盛んに開発されていて、それこそAIと結びつき、戦場に導入されるということもシームレスに起こっている。
今やアメリカを追い越す勢いにある、中国の深センの、特にフィジカル系のAIなどのテクノロジーの最前線を見て、そこで実際に起きている問題などを知り、作品のイメージやアイデアを得られるといいなと思っています。

「浮遊する器官」展示風景(アートセンターBUG、東京、2026) 撮影:竹久直樹

現時点(2026年6月)で、展覧会に向けて意識していることはありますか。

自明とされるようなことを自明視せずに疑っていくというようなことをずっとやっていると思っています。選考委員の方々にもそういう言葉で語ってもらえたので、自分の中でも改めてその点を自覚的にやっていこうと考えています。原子力やエネルギーの問題というのは普遍的である一方、かなり曖昧に認識されているんじゃないかと思っています。そこに対して、何かむき出しの状態の「技術」そのものを提示し、手触りやリアリティみたいなものを手繰り寄せるようなことはしたいと思っています。戦争・軍事におけるテクノロジーの問題についても同じですね。
現状まだ起きていないという意味において、多くの日本人にとっては 身近ではないのかもしれないけど、世界中の何カ所かで紛争が起きていて。プロテスト活動している人もいますけど、日本の大多数の人にとっては、非常に遠いものとして認識されている。そこに最新のテクノロジーが使われていて、イノベーションやブレイクスルーが起きている。そのことを、多くの人は薄々わかっていても、日常の利便性の方に意識を持っていかれて、その負の側面には目が向きにくくなっている。その事実に、できるだけ意識が及ぶような作品を作っていかなければいけないと思っています。

受賞記念シンポジウムの最後に、選考委員の近藤由紀さんが、潘君と僕の共通点として盲目性について言及していました。潘君は、身体が全体に対して盲目であるみたいなことを言っていて、僕の場合は、非常に当たり前で自明とされているようなこと、普通の人が普段の生活の中で見過ごしてしまうようなことを自明視せずに、ある種盲目になっている部分みたいなものを取り上げて作品化していると。本当にそうだなと。梅田さんや呉さんの受賞記念展みたいに、完全に一緒の空間にはならないと思うんですけど、一緒に展示するにあたって、共通認識をすり合わせるようなこともしていきたいなと思っています。

動画撮影:シャ ヒロヤス
録音:横山拳吾
テキスト編集:トーキョーアーツアンドスペース