津田道子TSUDA Michiko
1980年神奈川県生まれ
石川県在住
プロフィール
2013年 東京藝術大学大学院映像研究科博士後期課程映像メディア学専攻修了
主な展覧会
- 2023年「ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち」(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、東京)
- 2023年個展「津田道子 so far, not far」(金沢アートグミ)
- 2022年「Windowology: New Architectural Views from Japan」(VILLUM Window Collection、デンマーク)
- 2022年「メディウムとディメンション:LIMINAL」(柿の木荘、東京)
- 2022年「とある美術館の夏休み」(千葉市美術館)
- 2021年「THE 10TH ASIA PACIFIC TRIENNIAL OF CONTEMPORARY ART (APT10)」(Queensland Art Gallery & Gallery of Modern Art、ブリスベン、オーストラリア)
- 2021年「窓学 窓は文明であり、文化である」(ジャパン・ハウス ロンドン)
- 2020年個展「トリローグ」(TARO NASU、東京)
- 2020年「『インター + プレイ』展 第1期」(十和田市現代美術館、青森)
- 2019年「art trip vol.03 in number, new world / 四海の数」(芦屋市立美術博物館、兵庫)
- 2019年「TOKAS Project Vol. 2 『FALSE SPACE 虚現空間』」(TOKAS本郷、東京)
- 2019年「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(伊藤家住宅、名古屋)
- 2019年「六本木クロッシング2019展: つないでみる」(森美術館、東京)
- 2017年個展「Observing Forest」(ZARYA Center for Contemporary Art、ウラジオストク、ロシア)
- 2016年「オープン・スペース2016 メディア・コンシャス」(NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]、東京)
- 2013年「Media/Art Kitchen – Reality Distortion Field『Media Shapes Mind: Mind Shapes Choice: Choice Shapes Future』」(バンコク芸術文化センター[BACC])
受賞歴
- 2017年「文化庁メディア芸術祭」アート部門 新人賞
映像メディアの特性にもとづき、インスタレーションやパフォーマンスなど多様な形態で制作を行う。映像装置とシンプルな構造物を配置し、虚実入り混じる作品空間が、鑑賞者の視線や動作を操作し、知覚や身体感覚についての考察へと導く。また、2016 年よりパフォーマンス・ユニット「乳歯」として、小津安二郎の映画作品における登場人物の動きを詳細に分析し、そこに内在する人との距離や、女性の役割に関する問題を可視化するパフォーマンスなどを展開する。
TCAA2021-2023 選考委員長 コメント
選考委員会では、これまでアーティストのスタジオ訪問を選考の重要な判断材料のひとつとして捉えてきた。今回、TCAAチームの優れた段取りのおかげで、実際に現地を訪問した選考委員も、オンライン参加の選考委員も、作家の創作活動について総合的に把握し、理解を深めることができた。私たち選考委員は各作家の話にじっくりと耳を傾けるとともに、作品とその思考について具体的に質問した。このようなやりとりや深い関わりは、受賞が誰になるのかという最終結果を決めるための手段だけではなく、選考委員にとって有意義な学びの場となっている。また、アーティストにとっても同様であることを願う。
選考はスタジオ訪問を踏まえて慎重に検討が行われる。日本と海外いずれの選考委員も、日本の作家の作品について率直に意見を交わすとともに、異なる視点から作品を理解しようと互いに努力を重ねた。選考の議論は、結論を出すことにとどまらず、今日の変化し続ける世界情勢における芸術活動の意義について深く考えるものでもあった。
受賞の理由
カメラやスクリーンが、被写体や映像を体験する観客に与える影響に関心を持ち、インスタレーションやパフォーマンスを制作してきた津田道子は、近年小津安二郎の映画におけるカメラフレーム内で「振付された」人物の動きの分析から不可視のジェンダーロールを可視化するパフォーマンス作品を展開している。ノン バーバル ランゲージを綿密に探究する作品は、イメージであれ体の動きであれ、因習が及ぼしている範囲がいかに個に内面化されているかを想起させる。
また教育の現場でもジェンダースタディや社会的な実践としての活動を行い、自分の関心に沿って作品を積み重ねながら、領域を拡大しつつ貪欲に新しい表現に挑戦している。
その芸術的実践と作品はどちらも、鑑賞者に内省と、社会における相互理解を生み出すため、個人的な変革ではなく、構造的な変化の必要性を批判的に自覚させており、改めてそれら活動を貫く関心と動機の一貫した強い制作態度が評価された。