下道基行SHITAMICHI Motoyuki
1978年 岡山県生まれ
香川県在住
プロフィール
2001年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
近年の主な展覧会
- 2024年「第25小時」(基隆美術館、台湾)
- 2024年個展「ははのふた」(Onikai MtK Contemporary Art、京都)
- 2024年「NEW JAPANESE PHOTOGRAPHY 1974→2024」(八重洲、日本橋、京橋エリア、東京)
- 2024年個展「瀬戸内『漂泊 家族』写真館」(宮浦ギャラリー六区+へんこつ、香川)
- 2024年「浮世:ジャポニスムから日本の現代アートまで」(レ・フランシスケーヌ、ドーヴィル、フランス)
- 2024年「NEW DIRECTIONS: RECENT ACQUISITIONS」(ジョージ・イーストマン・ミュージアム、ニューヨーク)
- 2024年「Nothing to Waste」(全北美術館、韓国)
- 2024年個展「船はあの丘に登った」(FIGYA、大阪)
- 2023年「つなぎ現代アートコレクション展」(つなぎ美術館、熊本)
- 2023年個展「瀬戸内『直島部活史』資料館」(宮浦ギャラリー六区、香川)
- 2023年個展「FLOATING MONUMENTS」(Alison Bradley Projects、ニューヨーク)
- 2023年「リニューアルオープン記念特別展 Before/After」(広島市現代美術館)
- 2022年「潜在景色」(アーツ前橋)
- 2022年「瀬戸内国際芸術祭2022」
個展「瀬戸内『中村由信と直島どんぐりクラブ』資料館」
個展「瀬戸内『鍰造景』資料館」
(宮浦ギャラリー六区、香川) - 2022年「京都精華大学ギャラリーリニューアル記念展 越境 収蔵作品とゲストアーティストがひらく視座」(京都精華大学ギャラリー Terra-S)
- 2022年個展「A Ship Went Up That Hill」(Kunsthal Aarhus、デンマーク)
- 2021年「コレクション展:絶対現在」(豊田市美術館、愛知)
- 2021年個展「瀬戸内『鍰造景』資料館」(宮浦ギャラリー六区、香川)
- 2021年「日常のあわい」(金沢21世紀美術館)
- 2021年「温情の地:震災から10年の東北」(Composite、メルボルン)
- 2021年「復興を支える地域の文化―3.11から10年」(国立民族学博物館、大阪)
- 2021年「境界のかたち 現代美術 in 大府」(おおぶ文化交流の杜allobu、愛知)
- 2020年個展「瀬戸内『百年観光』資料館」(宮浦ギャラリー六区、香川)
- 2020年「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館展示帰国展 Cosmo-Eggs| 宇宙の卵」(アーティゾン美術館、東京)
- 2020年「現代アートにおける「時間」」(高松市美術館)
- 2019年個展「漂泊之碑」(大原美術館/有隣荘 岡山)
- 2019年個展「瀬戸内『緑川洋一』資料館」(宮浦ギャラリー六区、香川)
- 2019年「Intimate Distance. Masterpieces from the Ishikawa Collection」
(MO.CO. Hôtel des collections、モンペリエ、フランス) - 2019年「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ」(日本館、ヴェネチア)
- 2018年「MOVING STONES」(KADIST、パリ)
- 2018年「Our Everyday―Our Borders」(大館現代美術館、香港)
- 2018年「光州ビエンナーレ2018」(韓国)
- 2018年「高松コンテンポラリーアート・アニュアルvol.07」(高松市美術館)
- 2017年「MOTサテライト」(清澄白河周辺[東京都現代美術館主催])
- 2017年「Immortal Makeshifts」(Mullae Studio M30、ソウル)
- 2017年「Moving/Image」(アルコ美術館、ソウル)
- 2016年個展「風景に耳を澄ますこと」(黒部市美術館、富山)
- 2015年個展「ははのふた」(豊田市美術館ライブラリー、愛知)
受賞歴
- 2015年「さがみはら写真新人奨励賞」
- 2013年「第6回 岡山県新進美術家育成『I氏賞』」大賞
- 2012年「光州ビエンナーレ2012」NOON芸術賞(新人賞)
砲台や戦闘機の格納庫など日本各地に残る軍事施設跡を4年間かけて調査・撮影し、出版もされた「戦争のかたち」シリーズ(2001-2005)や、アメリカ・台湾・ロシア・韓国など日本の植民地時代の遺構として残る鳥居を撮影した代表的なシリーズ「torii」(2006-2012)など、旅やフィールドワークをベースにした制作活動で知られる。下道の作品は、風景のドキュメントでも、歴史的な事実のアーカイブでもない。生活のなかに埋没して忘却されかけている物語、あるいは些細すぎて明確には意識化されない日常的な物事を、写真やイベント、インタビューなどの手法によって編集することで顕在化させ、現代の私たちにとってもいまだ地続きの出来事として「再」提示するものである。
選考委員長 マリア・リンド コメント
TCAA選考委員は、東京と京都にてTCAA候補者の全7名に会い、三日間に渡り作品について調査する有意義な時間を過ごした。濃密かつ刺激的な議論の末、受賞者として風間サチコと下道基行を選出した。両者ともプラクティス(実践)が堅固に構築されており、彼らの制作にとって、海外滞在に適した時期だと考えられる。
下道基行の繊細な作品において、境界はしばしばその意味を逸脱している。写真、映像、オブジェ、インタビュー、ワークショップ、あるいは他の社会的状況などを用いることで、離れたところにある事柄を観察し、接続する。沖縄の浜辺に漂着したガラス瓶、日本の旧植民地の鳥居、そして1771年より砂浜に佇む巨大な津波石。地理的には遠く離れたそれらは、長い期間を経てゆっくりと作用するだろう。
受賞の理由
作品のテーマの多くは境界のあり方や、その境界を介しての人間と自然の関係性に触れており、時間をかけた観察のもと、詩的な方法で作品が制作されている。それら関係性の接合は緻密かつ丁寧に行われ、作品の背後には表現に対する独自の言語がある。作家は地図の中にある、点と点をつなげるような仕事をしているが、新たな展開に作家を導くであろうこの「接続(connectivity)」についてのさらなる掘り下げに対して、本アワードはその活動を後押しすることができるだろう。