Tokyo Contemporary Art Award

TOP > 海外活動 > 2024 - 2026 > 梅田哲也

SUPPORT FOR ACTIVITIES OVERSEAS

梅田哲也

2025年度にTCAA受賞記念展で発表する新作およびモノグラフの制作に向けて、各地で船に乗りながら、生活や流通の観点から都市と水路の関係を調査しました。また、展覧会会場のレイアウトや構成方法の参考に、デンマークやオランダで代表的な近代建築やアーティストの共同スタジオを見学しました。

デンマーク(オーフス、コペンハーゲン)2024.4.8-4.22

オーフスで行ったパフォーマンスのための滞在を延長し、アルネ・ヤコブセン設計のオーフス市庁舎、オーフス建築学校、モースゴー博物館などを視察。オーフス市庁舎では、オーフス建築学校教授Leif Høgfeldt Hansen氏にご案内いただいた。

オーフスとコペンハーゲン間はフェリーで移動した。コペンハーゲンでは公共交通機関としての定期船を利用しながら、水辺の公共施設を視察。また、ルイジアナ近代美術館、オードロップゴー美術館など建築や内装が個性的な美術館を訪問した。地下貯水槽の廃墟をそのまま展示会場として使用するシステアナ美術館で鑑賞したタリン・サイモンによるインスタレーション作品≪Start Again the Lament≫は印象に残った。

  • アルネ・ヤコブセン設計のオーフス市庁舎

  • アルネ・ヤコブセン設計のオーフス市庁舎

オランダ(アムステルダム、ロッテルダム)2024.4.23-4.28

アムステルダムでは、町の広範囲を巡るカナルボートツアーに参加し、運河の家博物館を訪れた。また、以前から憧れていたボートハウスにも乗船した。どれも他では得難い貴重な体験であったが、特に博物館の展示は、海抜以下の都市がどのように作られたかを短時間のツアー形式で学ぶことができ、何よりとても楽しかったので、どなたにもおすすめ。

ロッテルダムでは、ピート・ブロム設計のキューブハウスや、MVRDV設計のマルクトハルなど市内の建築を見学。ロッテルダム海洋博物館を訪問し、貿易港の港湾ツアー「Spido Harbor Tour」に参加した。
以前出演経験があるフェスティバルのディレクターの推薦で、Theater RotterdamにてDavy Pietersの作品≪HEAT≫を鑑賞。クンストインスティテュート・メリーでは、TCAA選考委員であるソフィア・ヘルナンデス・チョン・クイ氏と今後の展覧会について意見交換した。さらに、アムステルダムとロッテルダム両方で、以前共に仕事をしたエンジニアやアーティストのスタジオや自宅を訪問した。

  • 国立海洋博物館(アムステルダム)

  • 運河の家博物館(アムステルダム)

  • ボートハウス(アムステルダム)

  • ボートハウス乗船時の様子(アムステルダム)

  • ピート・ブロム設計のキューブハウス(ロッテルダム)

  • 貿易港の港湾ツアーの様子(ロッテルダム)

  • クンストインスティテュート・メリー(ロッテルダム)

イタリア(ヴェネチア)2024.4.29-5.2

町の水路を移動しながら数々の歴史的建築を訪問したほか、安藤忠雄が設計したプンタ・デラ・ドガーナ・ピノー現代美術館で開催していたピエール・ユイグの個展「Liminal」も鑑賞。デンマークのオードロップゴー美術館(20世紀初頭の建物に、ザハ・ハディッドやスノヘッタが増築)を訪れた経験も相まって、歴史的建造物と現代建築の融合に関心が高まり、帰国後は兵庫県立美術館のAndo Galleryで模型を鑑賞した。

ベルギー(ブリュッセル)2024.5.2-5.6

ブリュッセルでは、Oscillation Festivalに招待され、ワークショップとパフォーマンスを行った。公演のフィードバックとして、来年開催のフェスティバルから数件オファーをいただいた。

  • Performance photos by (c) Camille Poitevin

これまで海外滞在中は、作品の制作やアウトプットに追われ、設営後すぐに帰国することがほとんどであった。しかし今回は、リサーチのためだけに時間を使えたことで、これまで見過ごしていた興味を深く掘り下げることができた。近代建築やアーティストのスタジオを見学できたことは、今後の活動や作品制作にとても良い刺激となった。

テキスト・写真提供:梅田哲也
編集:トーキョーアーツアンドスペース